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税務調査の実態と防衛策

2025.06.16更新

福岡市、特に天神地区ではオフィスビルの建設が加速していますが、不動産業者さんに話を聞くと、テナントの需要に対して供給が多すぎるようで、ネットで出ている価格より20%ほど安く契約することが増えているそうです。

モノの価格は概ね需要と供給で決まりますが、なぜ需要が下がり続けていた米の価格が突如上がったのかは不可解。で、少し調べてみると、米は予想小売価格から逆算して価格が決まるという、かなり特殊な価格構造なんですね。なので、今回のように備蓄米を随意契約で小売業者に渡したほうが直接的なんだと私なりには理解しました。
一方で国による需要予測の失敗や、大規模な農業経営者が「もうこれ以上儲けなくても良い」と、政府の予想以上に米を作らなくなっているとの指摘もありました。身近な事でも知らない事は山ほどありますね。

 
税務調査について

さて、たまには税理士らしい事を書きたいと思います。
私は覚えているだけでも200件以上の税務調査に立ち会っています。事務所全体では500件は軽く超えていると思います。そういう意味では経験豊富です。

税務調査では、皆さんの過去の行動の全てを把握できるわけではありません。ですので、税法に違反していそうな部分特に悪質なものを可能な限り探していきます。悪質な脱税については、見逃される事はなく、100%課税されます。悪質なものとは、《 売り上げの除外 》《 架空経費の計上 》が代表格です。

記憶に新しいのは、社長自らではなく、現場のスタッフが鉄などの金属を買取業者に横流ししていたというものです。しかしこれはあくまで会社が売上除外して、脱税したとみなされてしまいますので、注意が必要です。架空経費は、外注業者を利用したものがよく指摘されています。税務署の調査能力はある意味警察以上だと思います。夜中に現場に張り込んだり、ゴミ袋の中身をチェックしたり…。
ですので、架空の外注業者を作ってもその会社の実態を調べに行く位の事は当然やります。絶対に甘く見てはいけません。

また、会社で支払った代金の一部を値引きさせて個人に還流させている場合などは、法人税、所得税、消費税さらに延滞税に重加算税と、4重5重で課税されますのでとんでもない金額になることがあります。
これも社長ではなく、取締役が行っていて納税額が数億規模になったケースもありました。この手の悪質な脱税は最長7年間遡ります。
金額(概ね1億円)によっては刑事罰を前提とした査察調査(いわゆるマルサ)に切り替わることもあります。ですので、絶対に悪質な脱税をしないように、ご自身はもちろんですが、スタッフへの教育も万全に行ってください。悪気はなくても、取引先から持ちかけられて、結果的に重加算税を認定される可能性も少なからずあります。

ちょっと怖い話を先に書きましたが、税務調査の争点の大半はいわゆる見解の相違です。これらは話し合いによって決着する事が多いです。つい最近も、
「同業者との飲み会を交際費と認めない」
「高級外車は経費として認められない」
などの指摘がありましたが、「その同業者の話から得るものがたくさんあり、セミナーに行くのと変わらないし、参加しないと業界的に仲間外れにされ、不利益となる」「高級外車は通勤にもクライアント訪問にも使っているし、家には家庭用の車がある」と反論した結果、無事経費となりました。

 
税務署が来ないようにするためには?

法人の場合、税務調査に来る確率は統計上3%ほどです。が、規模が大きな会社海外取引の多い会社現金取引の多い会社などは経験上頻度が上がります。税務署はKSKというシステムから「これは怪しいな…」と思われる先を洗い出し、さらに書面上で調査してから実地調査に来ますが、これはブラックボックスでして対策しようがありません。しかもこのシステムは来年大幅に改良されるのだとか…。

そこで、納税側の防衛策としては書面添付制度の活用があります。これは税理士が企業の1年間の取引状況や経理体制を詳細に記載して税務署に提出します。これを提出しておくと、税務調査の場合も税理士と税務署側で書面のやり取りを行い、現場での調査が省略されることがあります。(100%ではないですが)
また、クラウド型の会計ソフトなどを利用し、経理に関してなるべく俗人化させない事も税務調査における対応策になりますのでご検討いただければと思います。