補助金
2024.09.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
2024年の診療報酬改定により新設された医療DX推進体制整備加算について、現時点では、算定要件の大部分が経過措置とされており、施設基準の届出を行うことにより、ほとんどの医療機関で算定可能となっています。
経過措置とされている項目の中でも特に医院の負担となる点が電子処方箋を発行する体制を有していること(2025年3月31日までの経過措置) と電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること(2025年9月30日まで経過措置)の2点です。
電子処方箋の発行には、設備投資が必要ですが、導入に対して国から補助金が用意されています。診療所では2025年3月末まで、19.4万円を限度として費用の1/2が補助されます。
また、国の補助金の交付決定を受けていることを条件に、県によっては申請を行うことで別途補助金を受け取ることができます。福岡県では1/4が補助されており、申請期限が2025年1月31日となっています。
尚、佐賀県及び長崎県では、医療機関からの要望が少ないとのことで、今のところ実施されていないようです。
国の補助金の交付手続きは現状2ヶ月程要するようですので、導入を検討されている場合はご注意ください。
こちらは、2025年4月から本格的な運用が開始される予定です。
内容としましては、紹介状送付サービス、健診文書閲覧サービス、6情報(傷病名、感染症、薬剤禁忌、アレルギー、検査、処方)閲覧サービスとなっております。
基本的には、文書等の提供時に患者の同意を得たことを登録することにより、他医療機関や患者本人が閲覧可能となるサービスです。
本記事は令和6年7月10日時点の情報をもとに作成しております。今後内容が変更される可能性がある点をご了承ください。
税務
2024.08.19
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
国税庁は、令和6年5月以降の送付分から、 一定の場合には納付書の事前送付を取りやめることとしています。そこで、納付書を使わずに納付ができ、簡単・便利なキャッシュレス納付についてご説明いたします。
e-Tax(国税電子申告 ・ 納税システム)により申告書等を提出した後、納税者ご自身名義の預貯金口座から即時又は指定した期日に口座引落しにより国税を電子納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続と届出書(口座情報の登録)の提出が必要となります。
ダイレクト納付は全ての税目について利用が可能です。また手数料は不要です。
出典 : 国税庁 PDF 「国税のキャッシュレス納付のご案内」
納税者ご自身名義の預貯金口座からの口座引落しにより国税を納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続と口座振替依頼書の提出が必要となります。
振替納税は申告所得税及び復興特別所得税、 消費税及び地方消費税(個人事業者)について利用が可能です。また、手数料は不要です。
出典 : 国税庁 PDF 「国税のキャッシュレス納付のご案内」
インターネットバンキングやATM等により国税を電子納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続が必要となります。 この納付方法は全ての税目について利用が可能です。 また、手数料は不要です。
ただし、利用のための手数料がかかる場合があるため、事前に金融機関へお尋ねください。
インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税を納付する手続きです。この納付方法は全ての税目について利用が可能です。 また、手数料は納付税額に応じた決済手数料が必要となります。
スマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払いを選択し、納付受託者に納付を委託する方法です。
出典 : 国税庁 PDF 「スマホアプリ納付の手続き」
この納付方法は全ての税目について、納付しようとする金額が30万円以下の場合に利用することができます。また、決済手数料は発生しません。
納付書を使わない納付手段では、税務署や金融機関の窓口に行く必要がありません。業務効率化のため、ぜひご検討いただければと思います。ご不明な点などは弊社までお問い合わせください。
相続
2024.08.01
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
今回は2020年7月10日から施行されております「法務局による自筆証書遺言保管制度」について要点を説明させていただきます。
内容はシンプルで読んで字のごとく「自分で書いた遺言書を、法務局で適正に管理・保管してもらえる」制度です。
遺言書の保管申請時には、民法に定める自筆遺言の形式に適合するかについて、外形的なチェックが受けられます。
また、遺言書の原本は遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間、適正に保管されます。
遺言の保管場所がわからず手続きされない、故意に破棄される、改ざんされる、被災により破損するなどの自筆証書遺言の弱点を、法務局で保管することによって解消できるというわけです。
保管制度を利用する場合は、作成した自筆証書遺言(A4サイズで上下左右の余白も決まりありなどの厳格な形式を守り、封はせずにばらばらで持参)を本人(代理人は認められない)が法務局へ持参して申請を行います。保管申請の手数料は3,900円です。
一度保管された遺言書・画像データはいつでも閲覧可能です。(遺言書原本の閲覧1回1,700円、画像データの閲覧1回1,400円)保管制度発足で弱点の一部は解消されました。
しかし、懸念事項はまだまだあります。
自筆証書遺言の形式面での煩雑さは何も変わっておりません。むしろ、法務局の遺言書保管官の外形的チェックが入ることで、様式に関しては以前より厳格になっていると思います。
また、相続発生後の自筆証書遺言の検認手続きは省略が可能となるものの、金融機関や証券会社で公正証書遺言(公証役場で作成した遺言書)と同じように円滑に相続手続きができるかどうかは微妙なところです。
そしてもう一つ、法務局では遺言内容について一切相談できませんので、相続で紛争が予測される場合に遺言内容の不備や欠落があれば、さらに問題が複雑化する可能性もあります。
制度開始から4年が経過しようとしており、2024年4月現在で73,199件の利用があるようですが、相続業務に携わる者の意見としましては、やはり自筆証書遺言より公正証書遺言が確実に手続きできる可能性が高いのではないかと思います。
どちらの形式で遺すにしても、一番大切なことは遺言書作成前に信頼できる相続の専門家に相談することです。
ご自身の想い、考えを整理し、残される大切な方々が揉めないために、どのような方法があってどれがベストなのか。正しく理解してから取り組みましょう。
税務
2024.07.17
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
日本の空き家の問題に対応するため、政府は相続税の空き家特例を導入しています。
相続税の空き家特例は、一人暮らしだった被相続人が亡くなったことで、その被相続人の自宅が空き家状態になってしまった場合に、相続人等が、その家屋を売却またはその家屋を取り壊して土地を売却するときに適用される特例です。具体的には、売却益から最大3,000万円が控除され譲渡税が安くなるというものです。
大きな節税効果が期待できますが、それだけ適用できる要件も簡単ではありません。
適用を受けるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。
2. 一戸建ての家屋か?
マンションや区分所有の登記がされている二世帯住宅は適用できません。
3. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋か?
4. 売却先は第三者か?
配偶者や一定の親族、同族会社に売却した場合は適用できません。
5. 被相続人は一人暮らしだったか?
被相続人が相続開始の直前まで居住していた家屋で、同居している人がいなかった場合が対象です。老人ホーム等に入所していた場合でも、家屋が空き家であれば特例の対象となります。ただし老人ホーム等入居直前に同居人がいた場合は適用できません。
6. 売却金額は1億円以下か?
その家屋及び敷地について他に相続し売却している方がいる場合や、複数年にわたって売却する場合は、 それらの売却金額の合計が1億円以下か否かです。
7. 家屋の耐震リフォームをしたか?
家屋ごと売却する場合は、その家屋に耐震リフォームをしなければいけません。
8. 家屋を取壊して更地にしたか?
耐震リフォームをせずに売却する場合は、みずから家屋を取壊して、更地にして土地を売却する必要があります。
9. 相続してから売却時まで、その家屋と敷地は貸付用や事業用に使用していないか?
売却までの間に、人に貸したり自分が住んだりすると適用できません。空き家の状態のままである必要があります。
10. 相続開始があった日から3年目の年の12月31日までに売却しているか?
被相続人が亡くなってから 3 年が経過する年末までに売却する必要があります。
令和6年1月以降の売却について改正
・相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が2000万円。(改正前は1人あたり3000万円控除が可能だった)
・売却した翌年2月15日までに耐震基準を満たせば良い。(売れるかどうかわからないのに空き家を先に取り壊すリスクへの救済)
「被相続人居住用家屋等確認書」という、物件が相続のときに空き家であったことを市区町村長が確認した旨の書類を入手する必要があります。
余裕を持って準備しないと申告期限に間に合わない危険があります。
相続で被相続人の自宅が空き家になってしまう場合の節税特例ですが、節税効果も大きいため要件も簡単ではありませんね。検討したい方は税理士法人アップパートナーズにお気軽にお問い合わせください!
補助金
2024.07.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
全国規模では209件もの補助金・助成金があります。(2024/5/13現在。地方公共団体独自分を除く)
(出典:J-Net21<中小企業ビジネス支援サイト>支援情報ヘッドライン )
現在、中小企業に対する働き方改革や賃金UP、生産性向上などの機運が高まっており、そうした情勢に対応する様々な補助金が存在します。補助金には申請要件があるものの原則的には返済の必要がないので、活用しない手はありません。
①ものづくり補助金
中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う為の設備投資を支援するものです。具体的には機械や設備・システム等の導入などが該当します。製造業だけでなくサービス業や小売業など、幅広い業種で利用できます。条件を満たしていれば個人事業主も申請が可能です。
②IT 導入補助金
中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX化等にむけたITツール(ソフトウエア・サービス等)の導入を支援するものです。ITツールは事前に事務局の審査を受け、公開(登録)されたものに限られます。相談対応のサポート費用やクラウドサービス利用等も補助対象に含まれます。電子カルテ導入やインボイスへの対応なども対象です。(医療関係・介護関係などの診療報酬を受けている機関も利用できます。)
③事業承継引継ぎ補助金
雇用や技術の担い手として日本経済を支えてきた中小企業は、経営者の高齢化や後継者不足に陥っています。このままのペースで廃業が増えていくと雇用環境や技能承継等への影響は避けられません。事業承継(M&Aも含む)をきっかけに新しい取り組みを開始する中小企業や、事業再編・事業統合に伴って経営資源の引き継ぎなどを進める事業者への支援です。
④小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む際に活用できるものです。
⑤事業再構築補助金
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編、又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支えます。ポストコロナの時代に対応した、感染症等の危機に強い事業への大胆な再構築を支援することで中小企業等の付加価値の向上や賃上げに繋げるとともに、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
弊社コンサル事業部では経済産業省管轄の補助金申請の支援に携わっており、先述の地方公共団体独自の補助金にも対応しています。投資計画をお持ちの際にはお気軽にお問い合わせ下さい。
(助成金は社会保険労務士法人かぜよみにお問い合わせください。)
税務
2024.06.18
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
独立行政法人中小企業基盤整備機構の経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。今回はこの共済について解説いたします。
①無担保・無保証人で借入可能
取引先が法的整理等に陥った場合に、「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍」の、いずれか少ない金額まで借入れできる。
②取引先が倒産後、借り入れ可能
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れできる。
③掛金を損金、または必要経費に算入できる
掛金月額は5,000円~200,000円まで自由に選べる。
④解約手当金が受けとれる
共済契約を解約された場合は、自己都合の解約であっても、掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヶ月以上納めていれば掛金が全額戻る。
心強い制度ですが、平成23年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増している状況にあります。
解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目・4年目に解約が多く、近年その傾向が顕著になってきました。脱退・再加入は積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではないと懸念されています。
これをふまえ、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について改正が行われました。
今後は、解約手当金を受け取った後、2年間は掛金を損金または必要経費に算入できないこととなります。制度の意義を考えながら加入及び解約の検討をしましょう。
人事労務
2024.06.03
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
社会福祉法人の決算日は3月31日となります。決算で確定した計算書類等は会計年度終了後3ヶ月以内に所轄庁へ提出することとなっており、6月30日までに全ての手続きを終了しなければなりません。今回はこの流れとポイントをまとめます。
まずは予算です。直接決算とは関係ないのですが、次期事業年度予算については、「毎会計年度開始の日の前日までに、理事長が作成し、理事会の承認を受けなければならない」とされています。ですから、次年度の予算については3月31日までに理事会の承認を受けている必要があります。
次に決算ですが、まずは現金預金の残高の確認です。3月31日時点の手許現金残高が帳簿残高と一致しているか、預金残高証明書と帳簿残高が一致しているか確認します。次に未収金・未払金の残高が請求書と一致しているか確認します。これは4月5月の預金通帳や実際に支払った領収書で確認することをおすすめします。そして、仮払金・仮受金・預り金等の残高の確認です。これは日頃から残高を確認することが重要です。
忘れてはならないのが、固定資産の増減の確認です。期中の購入や処分によって、増減した固定資産がないか固定資産台帳との突合作業が必要です。その他、引当金等の計上を行います。
つまり、まずは貸借対照表の金額を確定すること、これがポイントです。貸借対照表の金額が確定すれば決算の数字はほぼ出揃います。
決算が確定すれば、あとは監事監査を受け、理事会の承認、2週間以上の間隔を空けて定時評議員会で承認を受けます。最後に承認を受けた計算書類等を所轄庁へ提出します。ここまでを6月30日までに行います。
理事長は自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないので、その間隔が定款の規定上「毎会計年度に4月を超える間隔で2回以上」となっている場合は、6月と3月の理事会で職務の執行の状況を報告すれば大丈夫です。その際は議題という形ではなく、報告となります。決議の省略とは扱いが異なり、対面かオンライン等を使用した理事会の開催が必要となりますのでご注意ください。
税務
2024.05.16
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
昨年末に公表された国税庁の報道発表資料「令和4年事務年度における相続税の調査等の状況」によると、令和4年事務年度の相続税の調査件数は8196件で、前事務年度から1879件の増加で、伸び率は29.7%、約3割増加していました。
この調査件数8196件の内、非違件数は7036件で、非違割合は85.8%、税務調査を行ったほとんどの案件で申告漏れが指摘されていたことになります。ちなみに、申告漏れ課税価格は前事務年度から400億円増の2630億円となっていました。
相続税の調査に至る経緯は、死亡届が住所地の市区町村へ提出されると、そこから所轄の税務署へ死亡の事実が通知されます。その際に亡くなった方が所有していた固定資産や住民税の課税所得等の情報も併せて通知されます。これを受けて所轄の税務署は、亡くなった方の生前の申告状況や納付状況、金融機関からの支払調書など、税務署が把握している亡くなった方の財産状況等と照らし合わせて、税務調査の必要性の有無を判断しています。全国の国税局と税務署はネットワークで結ばれており、納税者の財産や納税の記録を一元管理しています。
個人事業主であれば所得税の申告状況、法人の経営者であれば法人税の申告状況、財産債務調書、各種法定調書など、把握している情報を様々な角度から検証し、実地調査の前に入念に事前調査をしています。一般的には相続税の申告後、1年から1年半後くらいに、税務調査の事前通知がくる傾向にあります。絶対では無いですが、申告後3年経過しても、事前通知が無い場合は、調査の対象とはならなかったと捉えています。
調査対象に選定され、いざ実地調査が行われる際には、調査官はどこを見ているのでしょうか。法人税、所得税の調査も同様ですが、実地調査開始時に、まずは納税者の概況の聞き取りが行われます。亡くなった方の生前の趣味や、ライフスタイル、死亡原因、職歴、出生地、親族関係など、世間話をしながら聞き取りが行われます。
調査対象に選定したということは、何かしらの相続財産の申告が漏れているのではないか?ということで来ているので、この様な世間話から、事前調査の内容と実態のすり合わせを行っているのです。また、調査官は納税者の自宅、室内も隈なく見ています。例えば、室内のカレンダーに証券会社名や、保険会社名が入っていたら、上場株式等の申告はあったかどうか、該当する保険会社の保険の申告があったかどうかなどをチェックしています。事前に所得状況をある程度把握しているので、それに見合ったライフスタイルなのかどうか世間話や自宅の状況等を見て、申告された課税財産と実態が見合っているのかを見ているのです。
相続財産の申告漏れで最も多いのは「現預金」で、全体の約3割を占めています。その中でも調査官は、名義人と実際の所有者が異なる、「名義預金」の有無を重視しています。お孫さんの将来の為にと、お孫さん名義の通帳を作成し貯金する。しかし、通帳、印鑑等の管理は亡くなった方であれば、それは名義預金と見なされ、相続財産となります。この様にならないためには、お孫さんまたは親へ通帳、印鑑を渡す、贈与契約書を作成する、必要な場合は贈与税の申告をする必要があります。
令和6年1月から相続財産に持ち戻される生前贈与の持ち戻し期間が最大7年に延長されました。これまで以上に、名義預金、贈与に対するチェックの目は厳しくなるものと思われます。今後の相続税申告の際に参考にしていただけたら幸いです。
人事労務
2024.05.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
年度末は、大手企業の賃上げに関する報道を見聞きする機会が多いですが、中小企業の動向はどのようになっているでしょうか。
ある民間調査会社の調べによると、2024年度にいわゆる「賃金改善」(定期昇給とは別にベースアップ等を行うこと)を予定している企業は、有:60%・無:14%・未定:26% となっています。
また、企業規模別でみても、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてで、前年度よりも賃金改善見込みの割合が上昇しており、従業員数別が「6 ~20人」「21~50人」「51~100 人」「101~300 人」の層でも6割を超えています。
「5人以下」では賃金改善を行う割合が低くなっているものの、4割台に達しています。
賃金改善を実施する理由は、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が約75%と最も高く、その他の理由としては、「従業員の生活を支えるため・物価動向」「採用力の強化・同業他社の賃金動向」などが挙げられています。
採用面で考えてみると、地場の大手地銀が大幅な初任給引き上げを行うなど、賃上げ基調が強くなっており、自社の採用競争力と経営面のバランスに苦慮する企業も多いかと思います。
賃金改善を検討するにあたっては、まず自社の給与水準が地域の同業他社と比較してどのラインにあるのかを把握することが必要かと思います。
その上で、賃金改善を行う必要があると判断した場合に、どの程度の引き上げを行うのか検討することになりますが、賃金改善等を実施する予定の企業における総人件費(月給及び賞与)の増加見込みは、中央値で3%ほどと言われています。
中小企業の実態を見ている肌感覚から申し上げると、月給のベースアップを検討するのであれば、財務上のバランスを考慮した上で1.5~3%を目安として検討してはいかがかと考えます。また、求人の初任給をアップさせた場合には、在職している従業員のベースアップを行う必要がありますが、どの職位までアップさせるのか、職位ごとにアップ額を変えるのか等を考えていく必要があります。
中小企業においては、中途採用のウエイトが大きい傾向にありますが、転職マーケットの2024年2月の求人倍率は2.67倍(前年同月差+0.5以上)であり、求人数のほうが転職希望者数より大きく増加し、転職求人倍率は上昇すると推測されています。
転職希望者のニーズは様々ですが、「収入増」・「ワークライフバランスの確保」・「スキルアップ」が主なものとして考えられます。採用競合と自社の労働環境を比較し、優れていると思われる部分については、自社HPや採用サイトでアピールポイントとして数値を用いるなど具体的に訴求することが効果的です。
「採用と定着」は、重要度が高まっている経営課題かと思います。賃金改善や採用等についてご相談やご質問がありましたら、お気軽に弊社スタッフへお声掛けください。
税務
2024.04.16
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
税務手続きに関し2024年1月から変更になったことがあります。それは、「電子取引」のデータ保存義務化です。「電子取引」とは電子上で書類のやり取りをした場合のことをいい、web明細やメールによる請求書等の添付、ECサイトで購入した領収書がweb上にある場合などが該当します。
国はデジタル化を推進しており、データで請求書等を受領したのに印刷して紙で保存するのはデジタル化に逆行します。そのような背景から電子取引はデータのまま保存することが義務付けられています。
また、保存をする際には「税務調査の際にデータのダウンロードに応じる」「改ざん防止措置」や「検索要件」など複数の要件を満たした上で保存する必要があります。
実はこの電子取引のデータ保存義務化は2022年1月から実施されています。ところが時期尚早との声が実務界から上がり、事実上2年間延期されました。そして2024年1月から義務化が再スタートしたわけですが、電子保存の対応が難しいとの声が引き続きあったため、結局期限のない「宥恕(ゆうじょ)規定」が置かれることになりました。
宥恕規定によると「改ざん防止措置」や「検索要件」など厳しい要件は不要になり、「税務調査の際にデータのダウンロードに応じる」の要件さえ満たせば従来どおり紙で保存ができるようになりました。
また、宥恕規定を使うためには「税務署が相当な理由があると認める」という要件が必要になるのですが、これは「システム導入が間に合わない」、「ワークフローの整備が間に合わない」という理由が通じるので、事実上中小企業なら誰でも使える規定になっています。多くの中小企業はこの宥恕規定を用いて電子保存義務に対応することになるでしょう。
では実務上どのように対応すれば良いか、典型例としてECサイトでの購入のケースで見ていきましょう。
回答:ECサイト上で領収書等データの確認が随時可能である場合には、領収書等データをダウンロードして保存しなくても良い。ただし、①ECサイト上で検索要件を満たしているか、②税法上の保存期間を満たしているか、がポイントになる。
対応B(原則)
ECサイトで検索要件等を満たしている場合には、ECサイト上のまま保存で良い。
対応C(宥恕規定)
書面保存している場合には検索要件が不要なので、印刷の上ECサイト上で保存すれば良い。
※保存期間注意 対応Cの宥恕規定を使う場合には保存期間が問題なければ、今まで通り紙保存で良いということになる。
ECサイトの場合には、サイト上でいつでもダウンロードできる状態であれば、PDF等にダウンロードして保存することが不要になりました。また本来は検索要件等が必要なのですが、宥恕規定を使う場合には検索要件等も不要になります。税務調査が来たら、ECサイトからダウンロードすれば要件を満たします。従って、ポイントは「保存期間」のみになります。
法人税法の場合には7年間書類の保存が義務付けられているため、サイト上で7年間遡ることができれば、今まで通り紙に印刷すれば何も対応する必要がないということになります。このように宥恕規定により制度がかなり緩和されておりますので、各社の状況に応じて義務化された電子取引の対応を進めましょう。
経営ブログ
2024.04.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
近年予防診療が拡大され、自由診療を選択する患者さんが増えてきました。保険診療と保険外診療(自由診療)の境界線を理解することで、ルールを順守しつつ、同時に実施できることもあります。これから紹介する情報が見直しのきっかけになれば幸いです。
※混合診療が認められている「評価療養」「選定療養」を除いた情報です。
混合診療とは、一連の治療の中で保険診療と自由診療を組み合わせて、医療サービスを提供することです。わかりやすくまとめている東京都医師会のHPから保険外治療、そして厚労省の指導事例からNG例をご紹介いたします。
保険外診療(指導事例を一部抜粋)
NG例
患者さんの意識が高まるとより良い治療を求める方が増加します。
混合診療の定義を順守すると随時必要な医療の提供が出来ますので、詳細は下記からご覧ください。
東京都医師会 混合診療(健康診断・予防接種・自費医療など)
※字数の関係で一部をご紹介しています。見直し前にはルールをよくご確認ください。
※厚労省は混合診療を助長することはできませんので、HPや事例をご紹介しました。
税務
2024.03.18
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
令和5年12月に発表された「令和6年度税制改正大綱」で賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を軽減するため、所得税・住民税の定額減税が実施されることになりました。今回はその内容や具体的な実施方法について解説していきます。
「令和6年度税制改正大綱」では、まず、物価上昇を上回る賃金上昇の実現を最優先の課題としています。
そこで、岸田内閣は所得税・個人住民税の「定額減税」を実施することで、賃金上昇と相まって、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくることにしました。
その方法は、個人の口座に振り込まれる給付金ではなく、給与や公的年金から控除される源泉所得税等から定額を「減税する」という方法で、国民への「減税しましたよ感」をアピールするものになりました。
定額減税の額(ここでは所得税のみご説明します)
1. 納税者本人(居住者のみ):30,000円
2. 同一生計配偶者または扶養親族(居住者のみ):1人につき30,000 円
となっており、配偶者及び扶養親族はその年の合計所得金額が48万円以下でかつ同一生計であるものに限られます。
さらに、納税者本人については所得制限が課されていて、令和6年度の合計所得金額が1,805万円以下であることとされています。
※給与所得者の年収ベースで2,000万円以下
給与所得
①2024年(令和6年)の6月1日以後最初に支払いを受ける給与・賞与の源泉所得税から控除する
②控除しきれない場合には、2024年(令和6年)7月以後の給与・賞与(同年最後支払いを除く)の源泉所得税額から順次控除する
③最終的には年末調整で控除する
公的年金等
①2024年(令和6年)の6月1日以後最初に支払いを受ける年金の源泉所得税から控除する
②控除しきれない場合には、2024年(令和6年)8月以後に支払いを受ける年金の源泉所得税額から順次控除する
事業所得
①第1期(原則2024年7月)の予定納税額から控除する
②控除しきれない場合には、第2期(2024年11月)の予定納税額から控除する
③最終的には確定申告で調整する
納税者にとって、減税はうれしいものです。しかし、この定額減税は1回のみの実施ですし、給与支払者が減税額を計算するという手間とコストをかけなければなりません。6月から始まる予定ですので、少しずつ経理事務の方法等が明らかになってきています。
私達も情報をより早くキャッチしてお伝えしていきます。