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社会福祉法人に対する税務調査のポイント

2024.01.05更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

一般的に社会福祉法人は収益事業を行わない限り、法人税の納税義務はありません。しかし、源泉所得税に関しては納税義務が発生します。この源泉所得税については社会福祉法人にも税務調査が入る可能性があります。

 

2.源泉徴収税とは

人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払いの都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。
そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与等を実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。これを源泉所得税の徴収・納税義務と言います。
調査ではこの源泉所得税がきちんと計算され徴収・納税されているかを調べられます。
ポイントはいくつかありますが、まずは理事会、評議員会の際に支払われる役員報酬について調べられます。理事、監事、評議員に支払う報酬からもきちんと源泉所得税を徴収しなければいけません。徴収する税額は「源泉徴収税額表」の日額表の乙欄に記載されている金額になります。役員報酬規程等で支払う報酬の金額が決められていると思いますので、規程の確認も必要になります。

 

3.嘱託医への報酬

次に個人の嘱託医に支払う報酬です。毎月報酬を支払っている場合は「源泉徴収税額表」の月額表の乙欄に記載されている金額を徴収してください。報酬・料金等の支払いとして10.21%の税率を徴収するのは誤りです。非常勤職員給与として源泉所得税を徴収しますので、年末には嘱託医へ源泉徴収票を交付する必要があります。

 

4.中途社員の必要書類

中途入社の職員がいる場合にはその方の必要書類も調べられます。年の中途入社で前職があるにも関わらず、前職の源泉徴収票を提出しない場合は年末調整を行うことができませんので、年末調整をするのは誤りです。前職がある方には必ず源泉徴収票の提出を求めるようにしましょう。
また、年末調整の時に必要な「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は非常に重要な書類ですので、入社時に前職の源泉徴収票や他の必要書類と共に提出してもらうことをおすすめします。

 

5.最後に

社会福祉法人には税金がかからない。という認識は誤りではありませんが、全く税に対して関わりが無いという訳ではありません。特に理事会や評議員会の報酬などは社会福祉法人によく出てくる費用ですので、きちんと理解をして納税をする必要があります。
今回取り上げた事柄が調査のポイントの全てではありませんが、いざという時に困らないように定款や規程の確認も含めて、きちんと源泉所得税が計算され、納税されているか調べてみてはいかがでしょうか。


Hiroshi Sato

税理士法人アップパートナーズ
佐賀中央オフィス

社会福祉法人に対する税務調査のポイント