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贈与の相続への影響あれこれ

2023.12.18更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

既報の通り令和6年以降の贈与については、相続への持ち戻し加算期間が3年→7年に延長されます。これは贈与税の原則についての規定ですが、贈与には他にも様々な特例があり、その中には相続に影響を与えるものも少なくありません。
そこで今回は、贈与が相続税に与える影響をまとめました。財産をあげる方を父母、もらう方を子としています。

 

2.原則※①

子ごとに年110万円の基礎控除まで非課税。最大7年分が非課税分も含めて相続で加算。ただし、この加算は相続時に財産を取得した方に限定されるため、例え子であっても財産を一切取得しないのであれば加算はない。

 

3.住宅取得資金贈与の特例

子ごとに最大1,000万円まで非課税。相続での加算なし。(令和5年12月31日までの特例)※延長の可能性有り

 

4.教育資金贈与

30歳未満の子ごとに1,500万円まで非課税。既に教育費に充てた分は相続での加算なし。残額については、子が30歳に達した時点で贈与税課税。他方父母に相続が発生した場合①相続税の課税価格が5億円超の場合は全て相続で加算、一方②5億円以下の場合で、子が23歳未満である、あるいは学校などに通っている場合などは加算なし。(令和8年3月31日までの特例)

 

5.結婚・子育て資金贈与

18歳以上50歳未満の子ごとに1,000万円まで非課税。利用した分は相続での加算なし。残額については、孫が50歳に達した時点で贈与税課税。他方父母に相続が発生した場合、残額は全て相続で加算。(令和7年3月31日までの特例)

 

6.おしどり贈与

2,000万円まで非課税。相続での加算なし。20年以上の夫婦間で、居住用不動産あるいは居住用不動産取得のための金銭贈与が対象。※期限の定めなし

 

7.事業承継税制(一般措置と特例措置あり)

18歳以上の後継者に対する贈与税が全額猶予。対象は自社株式のみ。猶予された税額は先代の相続の際に免除されるが、贈与時の株価が相続で加算。相続の際に引き続き猶予を受けることが可能。相続で猶予された税額は、後継者死亡時に免除。
(一般措置は期限の定めはなし)(特例措置は令和9年12月末まで)

 

8.相続時精算課税制度※②

父母ごとに2,500万円の非課税枠があり、父母ともに贈与すれば合計5,000万円まで非課税。ただし、すべて贈与時の価額を相続で加算。これとは別枠で、令和6年以降は子ごとに年110万円の基礎控除が新設。
※①と違いこの基礎控除は相続での加算はない。また※①とは共存できるので、父からは※②、母からは※①で贈与を受けたとすると、子ごとに年220万円までは非課税で贈与可能。
注意点は※①と※②は選択制で不可逆ということ。一度父から子の贈与について※②を選択すると、父からの贈与については※①には戻れない。その場合でも「3.住宅取得資金贈与の特例」「4.教育資金贈与」「5.結婚・子育て資金贈与」の特例は選択可能。また母からの分は依然として※①での贈与が可能。

 
不明点がございましたら遠慮なくお問い合わせください。


Kazutatsu Imaichi

税理士法人アップパートナーズ
福岡オフィス

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