UP PARTNERS

BLOG

代表ブログ
service

運の女神は楽観主義に微笑む

2025.10.15更新

私はNHKの朝ドラが好きなのですが、よく考えると、朝ドラは近現代の歴史小説みたいなものですよね。主人公がどのような背景で育ち、どんな人の影響を受け、どのように成長し、葛藤し、何を残して去って行ったか?とても考えさせられます。

「あんぱん」は、アニメ版の主題歌にすべてが込められていました。
「何のために生まれて、何をして生きるのか?答えられないなんて、そんなのは嫌だ。」「何が君の幸せ?何をして喜ぶ?わからないまま終わる、そんなのは嫌だ。」
空腹よりも肥満で悩み、幸せの定義も多種多様になっている時代に、自分の生きる意義を探すのは難しいのかもしれないですが、50歳を過ぎて、何が幸せか即答できない事には少々焦りを覚えている次第です。苦笑

さて、今回はドン・キホーテ創業者、安田隆夫氏の「最強の遺言」から印象に残ったことをご紹介します。
安田氏は1978年に泥棒市場という慶應ボーイらしからぬネーミングで起業。ある方によれば、かなり危ない橋も渡っていたとの事。そしていわゆるナイトマーケットであるドン・キホーテを創設し、特に最近10年で業績を飛躍的に伸ばし、売上2兆円企業にまで成長させました。
しかし、自身が末期癌を患っている事を最近発表しました。それからの安田氏は「運」について以前に増して語るようになりました。この本でも不可解な運というものについてできるだけ具体的、科学的に言及しておられます。

 
①「運の総量はコントロールできる。幸運を最大化するためには、不運な時はじっとしている事。そして不運をしのげば必ず幸運がやってくる」

これは過去にある経営者が似たようなことを言っていたのですが、
 ・運気の悪い時はジタバタしてはいけない
 ・仮にお金が出ていっても「膿を出し切る」つもりで出費した方が早く運が上向く

のだそうです。
ただ、安田氏は「ダメとわかれば即時撤退」とも書いています。好転するまで我慢して継続すべきか、即座に撤退すべきか…は判断が難しいですが、概ね早めに次を考えた方が上手くいくように思います。

 
②「リスクを取らないのが最悪。リスクのないところに幸運は訪れない。熟慮断行ではなく、断行熟慮こそが大事」

山に登るためにはあれこれシミュレーションするが、登らないのが経営では最悪の事態。登りながら想定とどこが違うかを検証する。果敢に攻める人にこそ盛運がやってくるとの事でした。
年齢とともに大きなリスクは取りにくくなるものですが、それに抗うことで社運が変わるのかもしれませんね。

新しいプロジェクトなどは最悪の事態まで想定すべきですが、結果として倒産しない程度なら基本的には「やってみなはれ!」くらいで丁度良いのではと思う次第です。
しかし、その印象と異なり、安田氏は攻め3に対し、守り7くらいの姿勢なのだそうで、待つ時は徹底的に待って、ここぞという時に一気にお金を注ぎ込んで勝負するタイプだそうです。それはそれでとても勇気が要るわけですが。

 
③「運の女神は楽観主義に微笑む」
安田氏によれば、オックスフォード大学のマット・リドレー教授が指摘したように、この50年間でも食糧危機や資源枯渇など様々な悲観論が声高に叫ばれたが、結局実現したのは楽観的なものだけだった。また、世界の株式の時価総額は凹凸こそあれ、100年間一貫して右肩上がりだった…との事。
悲観論は総じてリスク回避に繋がりますから、上記の②ともリンクしていると思います。私自身、日本の未来に悲観して株式を買ってこなかったことを今更ながら後悔していますが、確かに悲観し過ぎては何も始まらないと思います。

他にも色々興味深いことが書いてあったのですが、「運が良い」というよりは「機」をみるのに非常に長けた方なのかなぁという印象です。コンビニ出店など結構失敗もしているのですが、できるだけ撤退の損失を減らして長崎屋の買収に繋げたりと、駆け引きのタイミングを測るのが上手いのです。安田氏の思想の根底には麻雀があるようで、「ツキ」を統計的に考えている節がありました。
凡人の私にはとても真似できないのですが、何かの参考になれば幸いです。