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ザイオンス効果

2025.08.18更新

私は歴史小説が好きでよく読みますが、疑問に思うのは、冬の寒さについてです。特に雪の量が今とだいぶ違うように表現されている事です。調べてみると、戦国時代~江戸時代は今よりかなり寒かったようで、それが飢饉を誘発し、戦国時代が始まるきっかけになったという説もあるのだとか。
今は逆に毎年気温が上がっていますが、この先さらに気温が上がると世界的な食料問題が勃発するなんて話も耳にします。
そうなると、食料自給率の低い日本。このまま円安で大丈夫なのかな?…と思ったりもします。

 
ザイオンス効果

さて、皆さんはどこかでたまたま聞いた曲を、違う場所で聞くと、「あ、これ知ってる!」となり、そのままその曲やミュージシャンを好きになったという経験はないでしょうか?もしくはテレビやネットで見た物を、実際にスーパーで見かけてつい買ってしまったとか。

これは心理学的にはザイオンス効果と呼ばれています。アメリカの心理学者ロバート・ボレスワフ・ザイオンスが提唱したもので、「人は特に関心がなかった人や物事であっても、何度も会ったり目に触れたりするうちにだんだんと好印象をもつようになる」というものです。
私の例だと、今の新型クラウンを初めて見た時、「トヨタはよくもこんなヘンテコな車を作ったな…」と思ったのですが、何度も何度も見るうちに「なかなか格好良いかもしれない…」と思うようになりました。これはまさにザイオンス効果のなせる技です。

これを商売に応用するなら、「とにかく商品を目にする機会を増やす」「営業マンと顧客の接触回数を増やす」となります。
典型的なのはテレビCMですが、これは費用対効果が以前ほど望めません。しかし今はSNSという便利なものがありますし、メルマガや紙媒体もザイオンス効果を狙うなら短期集中で行うと効果的です。

ただし、これは落とし穴もあって、「接触が10回を超えると効果が望めない、あるいは逆にしつこいと思われてしまう」事です。
例えば私は識学の考え方が好きで本はよく読みますが、この会社の直接の営業はかなりしつこく、その点には嫌悪感を持っています。なので本は読みますが、コンサルとして導入する気は全くないです。同様のことを数名の税理士仲間から聞きましたが、これなどは営業政策としてどうなのかなぁと思っています。ファンの方はすみません。笑

 
プロジェクトは一つに絞る

最近、初心に帰ろうとドラッガーの書籍を読み返しています。その中で刺さったのは「1つのことに集中せよ」という事です。
事業の規模が広がるにつれ、経営トップとしてやるべき事も自然と増えますが、人間の能力、集中力にはおのずと限界があります。50歳を超えるとなおさら実感しますね…苦笑

少し前の話ですが、順調に規模が拡大した企業(クライアントではない)が、小売から卸売といった具合に事業の多角化を行いました。社長は高学歴で、若くて、とても行動力のある方なのですが、話しているとあちこちに話が飛ぶのです。「以前と比べてどうもフワフワしているなぁ」と思っていたのですが、多動力なんて言葉も流行っていたし、これはこれで良いのかなと思っていました。
数年経って、久しぶりにその社長に会いました。結果からいうとその会社の本業が停滞し、新規事業は部下の裏切りなどで失敗に終わり、借入過多となり銀行の管理下になっていました。

ドラッガーは、事業のイノベーションを推奨していますが、同時多角化については明確に否定しています。
引用すると、「モーツァルトは唯一の例外で、バッハもヘンデルも傑作は多いが、同時にたくさんの曲は作ってはいない」といった具合です。司馬遼太郎もその著書において、戦力を分散させる事の弊害をくどいほど書いていますが、ただでさえ人的資源の少ない中小企業は、一点集中を繰り返した方が成功する確率は高いように思います。
事業を多角化するとしても、プロジェクトを同時進行させない方が無難かなと改めて思った次第です。