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どうせなら格好良い会社で働きたい

2023.08.16更新

訪問した先々で「コロナは大丈夫だった?」とご心配いただき大変有り難く思いました。と同時に、この原稿が多くの方に読まれていることも実感し、改めて少しでも皆様に役立つことを書こうと思った次第です。

さて、経営は「常に営む」すなわち永続が最低限の目標になりますが、常に好調である事はおそらく不可能です。かの柳井正氏でさえ企業経営は「1勝9敗でよい」という名言を残されています。
私自身、20数年経営をしておりますが、スリル満点のジェットコースターに乗っているような感覚です。調子が悪いときほど本に救いを求めるのですが、過去にマスコミ等に「規範とすべき」と持ち上げられた会社は星の数ほどありました。
一方でいつの間にか名前を聞かなくなった会社も同じくらいあるでしょう。
今回は、一時はとてももてはやされた会社で、しかも私が過去に大きく影響を受けたものを 2 つご紹介します。

どうせなら格好良い会社で働きたい

元ワイキューブ、安田佳生氏の言葉です。
新卒採用のコンサルティングで一躍有名になりましたが、リーマンショックによる企業の採用控えが響きあっけなく倒産しました。質素倹約が最上の美徳とされる時に、彼は「お金をかけたオシャレで格好良い一等地のオフィスに入らないと、一流の人財は来ない」とオフィスへの積極投資を推奨。また、「社員教育で人は育たない。(名捕手の)古田はサボれば(凡庸な)カツノリになれるが、カツノリは努力しても古田にはなれない」と、採用、特に新卒採用への投資を主張しました。

不幸にも倒産しましたが、彼の言葉は今読み返してみると時代をある程度先取りしていたと思います。魅力のある企業に優秀な人財は集まり、結果として企業は発展します。よく考えれば当たり前のことを主張していたのだと思います。格好良いオフィスなどは、求職者に対してわかりやすい「魅力」なのだと思います。

夢に日付を

ワタミの渡邉美樹氏の代名詞的な言葉です。
夢は頭で考えるだけでなく、「実現する日付を書き込んで、そこから逆算してやるべき事を実行する事で実現する」というものでした。渡邉氏監修の手帳は大ヒットし、私も買いました。

しかし、2008 年にワタミの若手スタッフが過労自殺するなどブラックな企業体質が大問題となり、企業の評判は地に堕ちました。
業績も 2000 年代初頭は対前年 20% 台の驚くべき成長率を誇りましたが、2015 年からはマイナス傾向。今もコロナ前の業績を回復できずにいます。
ワタミの凋落は当時渡邉氏のファンだった私にはとても残念な出来事でしたが、夢に日付を入れるというのは素晴らしい事だと今でも思っています。エンゼルスの大谷選手の将来の夢と今やるべき事を書いた曼荼羅チャートが話題になりましたが、渡邉氏の言っていたことも実はほとんど同じです。
夢は逆算してこそ叶うというところでしょうか。

しかしまあ、つい最近のビッグモーター然り、カリスマと言われた経営者が過ちを犯して凋落していく姿は悲しいものがありますね。
経営者である私の叔父は「人は生きている間は完全無欠な存在になれるわけがない」と以前語っていました。
なるほどそうかなと思います。

どこに落とし穴があるかは本当にわからないものです。
これからも多くの人物が時の人となり、各種のメディアで取り上げられると思います。しかしその人が語る経営のノウハウを盲目的に自社に受け入れるのは考えものです。
大事なのは、「なぜその企業が成功しているのか?」まずは自分なりに冷静に分析する事だと思います。そして、自社に適している形にきちんとアレンジした上で取り入れれば、経営は良い方向に向かうのではと思う次第です。