税務
2024.11.05
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
建設業の2024年問題とは、2024年4月に施行された「働き方改革関連法」の影響を受けて、建設業が対応しなければいけなくなったことです。
今回はポイントである時間外労働の規制と割増賃金の引き上げについて詳しく説明いたします。
時間外労働の上限は、原則として月45時間以内、年360時間以内です。
但し、特別条項を設けて労働基準監督署へ届け出ることで、年間残業時間は720時間まで(休日労働は除く)となりますが、月45時間超の残業は年6ヶ月まで(休日労働は除く)が限度となっていますので、建設業を営む会社(事業主)は上限を超えないように、従業員の管理が必要です。
企業規模に関係なく月の時間外労働時間が60時間を超える場合は、50%の割増賃金を支払う必要があります。
上記は、建設業に拘わらず、いろいろな事業者が抱える頭の痛い問題ですが、建設業は特に、公共工事を主体として受注している事業者以外は4週6休程度の休日取得を行っている事業者が多いのが実情です。年間の総労働時間も全産業と比べ、90時間程長くなっています。慢性的な長時間残業と人手不足には、深い関係性があるとされているので、労働環境が改善されないと、とりわけ若い人手の確保及び定着は難しいようです。
では、どういった取り組みを行っていけばよいのか、賛否両論はあると思いますが、参考になれば幸いです。
① デザイン性の高い本社建物
建築業の会社は特に、本社建物をデザイン性の高い事務所と展示場を併設して、一般消費者に見に来てもらうようなスタイルを取ってみてはどうでしょうか。デザイン性が高ければ社員の満足度は高まりますし、会社の認知度も上がることで、営業社員の人件費をかけずに、受注が増やせます。そうすると収益性も上がってくるので、社員に支払える給与も増えてくると思われます。
② 建設ツールの導入やDX化
・ドローンによる3次元測量
・ICT建機の活用やICT活用工事の推進
・図面管理、閲覧から工事写真の撮影、アルバム出力まで行える総合型の建築業向け施工管理アプリの導入
・工期設定の平準化、短縮化
改善するには、多くの出費になりますので、その一部を助成してもらうために、業務改善助成金があります。
事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。ミニ油圧ショベルや建築積算システムなどの設備投資の事例もあります。
但し、賃金要件もしくは物価高騰等要件など注意点がいくつかありますので、詳しくは弊社グループの社会保険労務士法人かぜよみ、または業務改善助成金コールセンター(電話番号0120-366-440) までお尋ねください。
税務
2024.10.16
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
令和6年6月より定額減税が始まりました。
給与所得者の場合は、令和6年6月支給給与より減税されているため、いつもより手取りが多いと感じられた方も多いでしょう。
今回は、青色事業専従者等への調整給付と所得超過により定額減税対象外となる方の対応についてご説明します。
青色事業専従者と事業専従者(白色)は定額減税の対象となる扶養親族の範囲から除かれ、納税者本人として定額減税の適用を受ける必要があります。しかし、専従者給与額が一定額以下のため、所得税及び個人住民税所得割ともにゼロの場合、本人としても定額減税対象外となっていました。
今回、次のいずれの要件も満たす場合、必要書類の提出を行うことによって原則4万円の給付を受けることができるようになりました。(資料1)
定額減税は、令和6年分の合計所得金額が1,805万円超(給与収入のみだと2,000万円超)の方については定額減税の対象となりません。
扶養親族についても控除対象外となるため、扶養親族が多くいる場合、確定申告で相当な額が徴収される可能性があります。
①定額減税の対象となる配偶者がいる
②16歳未満の扶養親族がいる
この要件にあてはまる場合は、年末調整のときに、扶養親族を配偶者に異動した「扶養控除等異動申告書」を給与支払者に提出することを検討してください。配偶者側で扶養親族に係る定額減税を受けることが可能となります。
ただし、控除対象扶養親族に該当する方がいる場合は、どちらの扶養親族とするべきかよく検討してください。
私は対象?調整金?などご不明な点や判断に迷われたときは弊社までお気軽にお問い合わせください。
税務
2024.10.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
近年、働き方改革をはじめ、労務関係には様々な法改正が行われておりますが、令和6年10月に大きな改正が2つ実施されました。
平成28年10月より被保険者数が501人以上、令和4年10月より101人以上と週20時間以上勤務の従業員に社会保険が義務化されてきましたが、令和6年10月より51人以上の企業等も社会保険に加入の義務が発生します。
具体的な加入要件として、
をすべて満たした場合に加入となります。
厚生年金を納めることで、将来の年金受給額が増えるというメリットがありますが、一方で、健康保険料(介護保険料)、厚生年金保険料が給与より約15%前後天引きされるため、手取り額が減少するというデメリットもあります。
企業として、どちらの面も含めて加入ラインに該当している従業員に対し、社会保険に加入するか、勤務時間を減らすかを事前にヒアリングする必要があるかと思います。ただし、数年以内にはすべての企業が新しい基準の要件になるとされていますので、今回適用を受けない企業もいずれは加入の義務が発生することとなります。
例年3%程度の引き上げとなっておりましたが、昨年は過去最高の引き上げ額だったことは記憶にも新しいかと思います。
しかし、今年は昨年を上回る引き上げ額(目安で全国一律50円)になりましたので、企業は大幅な人件費の増加になります。
これは、月給制の給与で換算してみると、50円の引き上げ=月額8,000円を超える額になりますので、いかに大きい数字になるかがわかるかと思います。
また、最低賃金には含めない手当もありますので、以下の手当等を除いてクリアしているかを確認する必要があります。
通勤手当、皆勤手当、家族手当、賞与のように1ヶ月を超える期間で支給されるものがそれにあたります。
企業に負担が増す改正が多いですが、勤務時間を延長し社会保険に加入することや、最低賃金額へ給与を引き上げ、業務効率化に繋がる設備投資をする等で企業に支給される助成金もございますので、お気軽に弊社までお尋ねいただければと思います。
税務
2024.09.18
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
くるみん認定、えるぼし認定を受けた企業は、その上乗せ措置として令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度にて5%の上乗せが可能となりました。
原則、全雇用者の給与等支給額が前年度比1.5%増加した場合、その給与等支給額の15%の税額控除が受けられます。
会社等が子育てについてサポート体制を整備することで、女性が出産後も仕事を断念することなく続けやすい環境を提供し、長期間働くことができる社会を目指すことを目的に、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定した会社等のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした会社等が子育てサポート企業として厚生労働大臣から認定を受けることができる制度です。
なお、くるみん認定には、上記認定により子育てサポート企業として受けるくるみん認定と、その後に、さらに高い水準の取組により優良な子育てサポート企業として認定を受けるプラチナくるみん認定といった種類があります。
職業生活において、女性の個性と能力が十分に発揮できる社会の実現を目的に、女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
なお、えるぼし認定の段階は3段階あり
など、5つの評価項目のうち、その基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階が決まります。
なお、賃上げ促進税制の上乗せ措置の対象となる二段階目の基準は5つのうち3~4の基準を満たす必要があります。
上記①の控除の上乗せとして、くるみん認定であればくるみん以上、えるぼし認定であればえるぼし二段階目以上の場合で5%の上乗せ措置が受けられます。
くるみん認定、えるぼし認定、ともにそれぞれ「くるみんマーク」「えるぼしマーク」といったマークを使用できるため、これを自社HPへ掲載することで対外的なイメージの向上を図ることができ、女性が働きやすい環境整備のアピールによる採用活動にプラスの影響が期待できるとされています。
また、融資面では、えるぼし認定を受けた場合、日本政策金融公庫の地域活性化・雇用促進資金にて、融資に対して基準利率から0.65%を差し引く制度を実施、低金利で融資を受けることが可能であり、くるみん認定においても「くるみん助成金」として、中小事業主に対し上限を50万円とする助成金の交付が実施されています。
補助金
2024.09.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
2024年の診療報酬改定により新設された医療DX推進体制整備加算について、現時点では、算定要件の大部分が経過措置とされており、施設基準の届出を行うことにより、ほとんどの医療機関で算定可能となっています。
経過措置とされている項目の中でも特に医院の負担となる点が電子処方箋を発行する体制を有していること(2025年3月31日までの経過措置) と電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること(2025年9月30日まで経過措置)の2点です。
電子処方箋の発行には、設備投資が必要ですが、導入に対して国から補助金が用意されています。診療所では2025年3月末まで、19.4万円を限度として費用の1/2が補助されます。
また、国の補助金の交付決定を受けていることを条件に、県によっては申請を行うことで別途補助金を受け取ることができます。福岡県では1/4が補助されており、申請期限が2025年1月31日となっています。
尚、佐賀県及び長崎県では、医療機関からの要望が少ないとのことで、今のところ実施されていないようです。
国の補助金の交付手続きは現状2ヶ月程要するようですので、導入を検討されている場合はご注意ください。
こちらは、2025年4月から本格的な運用が開始される予定です。
内容としましては、紹介状送付サービス、健診文書閲覧サービス、6情報(傷病名、感染症、薬剤禁忌、アレルギー、検査、処方)閲覧サービスとなっております。
基本的には、文書等の提供時に患者の同意を得たことを登録することにより、他医療機関や患者本人が閲覧可能となるサービスです。
本記事は令和6年7月10日時点の情報をもとに作成しております。今後内容が変更される可能性がある点をご了承ください。
税務
2024.08.19
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
国税庁は、令和6年5月以降の送付分から、 一定の場合には納付書の事前送付を取りやめることとしています。そこで、納付書を使わずに納付ができ、簡単・便利なキャッシュレス納付についてご説明いたします。
e-Tax(国税電子申告 ・ 納税システム)により申告書等を提出した後、納税者ご自身名義の預貯金口座から即時又は指定した期日に口座引落しにより国税を電子納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続と届出書(口座情報の登録)の提出が必要となります。
ダイレクト納付は全ての税目について利用が可能です。また手数料は不要です。
出典 : 国税庁 PDF 「国税のキャッシュレス納付のご案内」
納税者ご自身名義の預貯金口座からの口座引落しにより国税を納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続と口座振替依頼書の提出が必要となります。
振替納税は申告所得税及び復興特別所得税、 消費税及び地方消費税(個人事業者)について利用が可能です。また、手数料は不要です。
出典 : 国税庁 PDF 「国税のキャッシュレス納付のご案内」
インターネットバンキングやATM等により国税を電子納付する手続きです。利用するに当たり、事前にe-Taxの利用開始手続が必要となります。 この納付方法は全ての税目について利用が可能です。 また、手数料は不要です。
ただし、利用のための手数料がかかる場合があるため、事前に金融機関へお尋ねください。
インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税を納付する手続きです。この納付方法は全ての税目について利用が可能です。 また、手数料は納付税額に応じた決済手数料が必要となります。
スマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払いを選択し、納付受託者に納付を委託する方法です。
出典 : 国税庁 PDF 「スマホアプリ納付の手続き」
この納付方法は全ての税目について、納付しようとする金額が30万円以下の場合に利用することができます。また、決済手数料は発生しません。
納付書を使わない納付手段では、税務署や金融機関の窓口に行く必要がありません。業務効率化のため、ぜひご検討いただければと思います。ご不明な点などは弊社までお問い合わせください。
相続
2024.08.01
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
今回は2020年7月10日から施行されております「法務局による自筆証書遺言保管制度」について要点を説明させていただきます。
内容はシンプルで読んで字のごとく「自分で書いた遺言書を、法務局で適正に管理・保管してもらえる」制度です。
遺言書の保管申請時には、民法に定める自筆遺言の形式に適合するかについて、外形的なチェックが受けられます。
また、遺言書の原本は遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間、適正に保管されます。
遺言の保管場所がわからず手続きされない、故意に破棄される、改ざんされる、被災により破損するなどの自筆証書遺言の弱点を、法務局で保管することによって解消できるというわけです。
保管制度を利用する場合は、作成した自筆証書遺言(A4サイズで上下左右の余白も決まりありなどの厳格な形式を守り、封はせずにばらばらで持参)を本人(代理人は認められない)が法務局へ持参して申請を行います。保管申請の手数料は3,900円です。
一度保管された遺言書・画像データはいつでも閲覧可能です。(遺言書原本の閲覧1回1,700円、画像データの閲覧1回1,400円)保管制度発足で弱点の一部は解消されました。
しかし、懸念事項はまだまだあります。
自筆証書遺言の形式面での煩雑さは何も変わっておりません。むしろ、法務局の遺言書保管官の外形的チェックが入ることで、様式に関しては以前より厳格になっていると思います。
また、相続発生後の自筆証書遺言の検認手続きは省略が可能となるものの、金融機関や証券会社で公正証書遺言(公証役場で作成した遺言書)と同じように円滑に相続手続きができるかどうかは微妙なところです。
そしてもう一つ、法務局では遺言内容について一切相談できませんので、相続で紛争が予測される場合に遺言内容の不備や欠落があれば、さらに問題が複雑化する可能性もあります。
制度開始から4年が経過しようとしており、2024年4月現在で73,199件の利用があるようですが、相続業務に携わる者の意見としましては、やはり自筆証書遺言より公正証書遺言が確実に手続きできる可能性が高いのではないかと思います。
どちらの形式で遺すにしても、一番大切なことは遺言書作成前に信頼できる相続の専門家に相談することです。
ご自身の想い、考えを整理し、残される大切な方々が揉めないために、どのような方法があってどれがベストなのか。正しく理解してから取り組みましょう。
税務
2024.07.17
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
日本の空き家の問題に対応するため、政府は相続税の空き家特例を導入しています。
相続税の空き家特例は、一人暮らしだった被相続人が亡くなったことで、その被相続人の自宅が空き家状態になってしまった場合に、相続人等が、その家屋を売却またはその家屋を取り壊して土地を売却するときに適用される特例です。具体的には、売却益から最大3,000万円が控除され譲渡税が安くなるというものです。
大きな節税効果が期待できますが、それだけ適用できる要件も簡単ではありません。
適用を受けるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。
2. 一戸建ての家屋か?
マンションや区分所有の登記がされている二世帯住宅は適用できません。
3. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋か?
4. 売却先は第三者か?
配偶者や一定の親族、同族会社に売却した場合は適用できません。
5. 被相続人は一人暮らしだったか?
被相続人が相続開始の直前まで居住していた家屋で、同居している人がいなかった場合が対象です。老人ホーム等に入所していた場合でも、家屋が空き家であれば特例の対象となります。ただし老人ホーム等入居直前に同居人がいた場合は適用できません。
6. 売却金額は1億円以下か?
その家屋及び敷地について他に相続し売却している方がいる場合や、複数年にわたって売却する場合は、 それらの売却金額の合計が1億円以下か否かです。
7. 家屋の耐震リフォームをしたか?
家屋ごと売却する場合は、その家屋に耐震リフォームをしなければいけません。
8. 家屋を取壊して更地にしたか?
耐震リフォームをせずに売却する場合は、みずから家屋を取壊して、更地にして土地を売却する必要があります。
9. 相続してから売却時まで、その家屋と敷地は貸付用や事業用に使用していないか?
売却までの間に、人に貸したり自分が住んだりすると適用できません。空き家の状態のままである必要があります。
10. 相続開始があった日から3年目の年の12月31日までに売却しているか?
被相続人が亡くなってから 3 年が経過する年末までに売却する必要があります。
令和6年1月以降の売却について改正
・相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が2000万円。(改正前は1人あたり3000万円控除が可能だった)
・売却した翌年2月15日までに耐震基準を満たせば良い。(売れるかどうかわからないのに空き家を先に取り壊すリスクへの救済)
「被相続人居住用家屋等確認書」という、物件が相続のときに空き家であったことを市区町村長が確認した旨の書類を入手する必要があります。
余裕を持って準備しないと申告期限に間に合わない危険があります。
相続で被相続人の自宅が空き家になってしまう場合の節税特例ですが、節税効果も大きいため要件も簡単ではありませんね。検討したい方は税理士法人アップパートナーズにお気軽にお問い合わせください!
補助金
2024.07.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
全国規模では209件もの補助金・助成金があります。(2024/5/13現在。地方公共団体独自分を除く)
(出典:J-Net21<中小企業ビジネス支援サイト>支援情報ヘッドライン )
現在、中小企業に対する働き方改革や賃金UP、生産性向上などの機運が高まっており、そうした情勢に対応する様々な補助金が存在します。補助金には申請要件があるものの原則的には返済の必要がないので、活用しない手はありません。
①ものづくり補助金
中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う為の設備投資を支援するものです。具体的には機械や設備・システム等の導入などが該当します。製造業だけでなくサービス業や小売業など、幅広い業種で利用できます。条件を満たしていれば個人事業主も申請が可能です。
②IT 導入補助金
中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX化等にむけたITツール(ソフトウエア・サービス等)の導入を支援するものです。ITツールは事前に事務局の審査を受け、公開(登録)されたものに限られます。相談対応のサポート費用やクラウドサービス利用等も補助対象に含まれます。電子カルテ導入やインボイスへの対応なども対象です。(医療関係・介護関係などの診療報酬を受けている機関も利用できます。)
③事業承継引継ぎ補助金
雇用や技術の担い手として日本経済を支えてきた中小企業は、経営者の高齢化や後継者不足に陥っています。このままのペースで廃業が増えていくと雇用環境や技能承継等への影響は避けられません。事業承継(M&Aも含む)をきっかけに新しい取り組みを開始する中小企業や、事業再編・事業統合に伴って経営資源の引き継ぎなどを進める事業者への支援です。
④小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む際に活用できるものです。
⑤事業再構築補助金
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編、又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支えます。ポストコロナの時代に対応した、感染症等の危機に強い事業への大胆な再構築を支援することで中小企業等の付加価値の向上や賃上げに繋げるとともに、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
弊社コンサル事業部では経済産業省管轄の補助金申請の支援に携わっており、先述の地方公共団体独自の補助金にも対応しています。投資計画をお持ちの際にはお気軽にお問い合わせ下さい。
(助成金は社会保険労務士法人かぜよみにお問い合わせください。)
税務
2024.06.18
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
独立行政法人中小企業基盤整備機構の経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。今回はこの共済について解説いたします。
①無担保・無保証人で借入可能
取引先が法的整理等に陥った場合に、「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍」の、いずれか少ない金額まで借入れできる。
②取引先が倒産後、借り入れ可能
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れできる。
③掛金を損金、または必要経費に算入できる
掛金月額は5,000円~200,000円まで自由に選べる。
④解約手当金が受けとれる
共済契約を解約された場合は、自己都合の解約であっても、掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヶ月以上納めていれば掛金が全額戻る。
心強い制度ですが、平成23年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増している状況にあります。
解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目・4年目に解約が多く、近年その傾向が顕著になってきました。脱退・再加入は積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではないと懸念されています。
これをふまえ、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について改正が行われました。
今後は、解約手当金を受け取った後、2年間は掛金を損金または必要経費に算入できないこととなります。制度の意義を考えながら加入及び解約の検討をしましょう。
人事労務
2024.06.03
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
社会福祉法人の決算日は3月31日となります。決算で確定した計算書類等は会計年度終了後3ヶ月以内に所轄庁へ提出することとなっており、6月30日までに全ての手続きを終了しなければなりません。今回はこの流れとポイントをまとめます。
まずは予算です。直接決算とは関係ないのですが、次期事業年度予算については、「毎会計年度開始の日の前日までに、理事長が作成し、理事会の承認を受けなければならない」とされています。ですから、次年度の予算については3月31日までに理事会の承認を受けている必要があります。
次に決算ですが、まずは現金預金の残高の確認です。3月31日時点の手許現金残高が帳簿残高と一致しているか、預金残高証明書と帳簿残高が一致しているか確認します。次に未収金・未払金の残高が請求書と一致しているか確認します。これは4月5月の預金通帳や実際に支払った領収書で確認することをおすすめします。そして、仮払金・仮受金・預り金等の残高の確認です。これは日頃から残高を確認することが重要です。
忘れてはならないのが、固定資産の増減の確認です。期中の購入や処分によって、増減した固定資産がないか固定資産台帳との突合作業が必要です。その他、引当金等の計上を行います。
つまり、まずは貸借対照表の金額を確定すること、これがポイントです。貸借対照表の金額が確定すれば決算の数字はほぼ出揃います。
決算が確定すれば、あとは監事監査を受け、理事会の承認、2週間以上の間隔を空けて定時評議員会で承認を受けます。最後に承認を受けた計算書類等を所轄庁へ提出します。ここまでを6月30日までに行います。
理事長は自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないので、その間隔が定款の規定上「毎会計年度に4月を超える間隔で2回以上」となっている場合は、6月と3月の理事会で職務の執行の状況を報告すれば大丈夫です。その際は議題という形ではなく、報告となります。決議の省略とは扱いが異なり、対面かオンライン等を使用した理事会の開催が必要となりますのでご注意ください。
税務
2024.05.16
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
昨年末に公表された国税庁の報道発表資料「令和4年事務年度における相続税の調査等の状況」によると、令和4年事務年度の相続税の調査件数は8196件で、前事務年度から1879件の増加で、伸び率は29.7%、約3割増加していました。
この調査件数8196件の内、非違件数は7036件で、非違割合は85.8%、税務調査を行ったほとんどの案件で申告漏れが指摘されていたことになります。ちなみに、申告漏れ課税価格は前事務年度から400億円増の2630億円となっていました。
相続税の調査に至る経緯は、死亡届が住所地の市区町村へ提出されると、そこから所轄の税務署へ死亡の事実が通知されます。その際に亡くなった方が所有していた固定資産や住民税の課税所得等の情報も併せて通知されます。これを受けて所轄の税務署は、亡くなった方の生前の申告状況や納付状況、金融機関からの支払調書など、税務署が把握している亡くなった方の財産状況等と照らし合わせて、税務調査の必要性の有無を判断しています。全国の国税局と税務署はネットワークで結ばれており、納税者の財産や納税の記録を一元管理しています。
個人事業主であれば所得税の申告状況、法人の経営者であれば法人税の申告状況、財産債務調書、各種法定調書など、把握している情報を様々な角度から検証し、実地調査の前に入念に事前調査をしています。一般的には相続税の申告後、1年から1年半後くらいに、税務調査の事前通知がくる傾向にあります。絶対では無いですが、申告後3年経過しても、事前通知が無い場合は、調査の対象とはならなかったと捉えています。
調査対象に選定され、いざ実地調査が行われる際には、調査官はどこを見ているのでしょうか。法人税、所得税の調査も同様ですが、実地調査開始時に、まずは納税者の概況の聞き取りが行われます。亡くなった方の生前の趣味や、ライフスタイル、死亡原因、職歴、出生地、親族関係など、世間話をしながら聞き取りが行われます。
調査対象に選定したということは、何かしらの相続財産の申告が漏れているのではないか?ということで来ているので、この様な世間話から、事前調査の内容と実態のすり合わせを行っているのです。また、調査官は納税者の自宅、室内も隈なく見ています。例えば、室内のカレンダーに証券会社名や、保険会社名が入っていたら、上場株式等の申告はあったかどうか、該当する保険会社の保険の申告があったかどうかなどをチェックしています。事前に所得状況をある程度把握しているので、それに見合ったライフスタイルなのかどうか世間話や自宅の状況等を見て、申告された課税財産と実態が見合っているのかを見ているのです。
相続財産の申告漏れで最も多いのは「現預金」で、全体の約3割を占めています。その中でも調査官は、名義人と実際の所有者が異なる、「名義預金」の有無を重視しています。お孫さんの将来の為にと、お孫さん名義の通帳を作成し貯金する。しかし、通帳、印鑑等の管理は亡くなった方であれば、それは名義預金と見なされ、相続財産となります。この様にならないためには、お孫さんまたは親へ通帳、印鑑を渡す、贈与契約書を作成する、必要な場合は贈与税の申告をする必要があります。
令和6年1月から相続財産に持ち戻される生前贈与の持ち戻し期間が最大7年に延長されました。これまで以上に、名義預金、贈与に対するチェックの目は厳しくなるものと思われます。今後の相続税申告の際に参考にしていただけたら幸いです。