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2025.09.02更新
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
働いている役員や従業員に対して、感謝の意を込めて旅行券や記念品を支給したり、良い人材を確保するために福利厚生制度の充実を図ろうとすることがあると思います。この支給が福利厚生費となるのか給与として課税されるのか、両者の線引は税務上とても重要です。
福利厚生費は、従業員の労働条件や生活の向上を目的とし、全従業員に公平・一律に提供される経済的利益です。
判断するポイントは「業務の対価ではなく、職場全体の福利を目的としていること」「特定の人だけを優遇していないこと」「社会通念上妥当な金額や内容であること」「業務遂行上の必要性や職場環境維持向上のためであること」です。
今回は、福利厚生費や給与課税されるものの具体例や税務上の取り扱いについてお伝えします。
・社員食堂や昼食補助(一定の自己負担があるもの。限度額あり。)
・社員旅行(全員参加の機会がある。期間参加人数の要件あり。)
・慶弔見舞金(社会通念上相当と認められるもの)、定期健康診断費用
・制服や作業服の支給(業務上必要なもの)
・借上社宅の家賃補助(所得税非課税の範囲。賃貸料相当額50%以上の自己負担)
・永年勤続者への旅行券や記念品の支給
(おおむね10年以上の勤続年数である者を対象とするなど、細かな要件あり)
これらは給与としての性質が薄く、税務上も福利厚生費として原則非課税で処理可能です。
一方、経済的利益が実質的に「労務の対価」とみなされる場合は、形式が福利厚生であっても給与課税されます。課税対象になるのは「特定の従業員だけが受ける」「社会通念上過大」「業務との関連が薄い」などのケースです。
・高額な現金支給の祝い金や手当(結婚祝いで数十万円など)
・個人的な旅行や高額接待の負担
・業務上不要な衣服やブランド品の支給
・社宅家賃の全額負担(非課税限度を超える部分)
・個人の光熱費・通信費の会社負担(業務使用部分を超える分)
・特定役員や幹部のみの高額な福利厚生サービス など
これらは名目が「福利厚生」でも、実質的には給与や賞与と同様に課税されます。
福利厚生費として適正に処理されたものは、法人税上損金算入でき、従業員側も所得税非課税です。逆に給与課税対象となる場合は、会社は源泉徴収義務を負い、従業員の課税所得に加算されます。
さらに、法人税では給与として損金算入は可能ですが、源泉徴収漏れがあると追徴や加算税の対象になります。
福利厚生費と給与課税の違いは「公平性」「妥当性」「業務関連性」の3つの視点で判断します。福利厚生費は職場全体の生活・環境向上を目的とし、社会通念上妥当な範囲で提供される限り非課税です。
一方、特定の人だけが過度に利益を得たり、実質的に報酬の性格を持つ場合は、給与課税となります。
福利厚生費か給与か迷われたときは、支出される前に税理士法人アップパートナーズへお気軽にご相談ください。
西本 友美(マネジャー・税理士)
登録番号第123976号
主な担当先の業種: 一般法人/医科・歯科クリニック/飲食/建設/不動産
得意な分野: 一般税務/創業支援
税理士法人アップパートナーズ
福岡博多本部