【労務】

介護サービス事業者の皆様へ~交付金の申請はお済みですか?

2009/10/20

平成21年4月からの介護報酬改定に続き、指定介護事業者に向けて、同年10月から「介護職員処遇改善交付金」が交付されることになりました。内容は、介護報酬にサービス種類毎の交付率をかけたものを、毎月の介護報酬と併せて概算交付する(最初の交付は同年12月から)というものです。
この交付金を受けるためには、各都道府県へ申請書とともに計画書を提出しなければなりません。申請時期は各都道府県によって異なりますが、10月中の申請で12月の交付に間に合わせるとしたところが多いようです。が、先日行われた長妻大臣の会見によると、これまでの申請は全事業者の48%にとどまっているのが現状だとか。

申請をためらう理由としては、やはり「この交付金が平成24年3月までの時限措置であること」。給与を上げたはいいけれど、交付金がなくなった後はどうやってそれを維持すればいいの?というところに、経営者の方々の大きな不安があるようです。
先の会見では、平成24年度以降も介護職員の処遇改善に取り組んでいきたいとの発言がありましたが、今の時点では先がまったくわからない状態ですから無理もありません。
厚生労働省のQ&Aを見ると、交付金による賃金改善額を、交付金がなくなった後も維持する義務はないとなっています。しかし、法の縛りがないからといって、いったん上げた給与をまた下げるなど、現場で働くスタッフを間近で見ている経営者からすればなかなかできるものではありませんよね。また、ご相談いただく中には「何故介護職員だけなの? 他の職員も同じ現場で、同じように頑張ってくれているのに...」と、事業所全体のバランスを考えて踏み切れないといった声も多く聞かれます。

毎月の固定給(基本給)に上乗せしてしまえば、2年半後に元に戻すということは難しいです。というより、まず無理と考えた方がいいでしょう。事は労基法の観点にも関わってきます。
そこで賃金改善のやり方ですが、この交付金が時限措置であることを職員の皆さんに改めて知っていただいた上で、「交付金が支給される間に限って」新しい手当を設置し、対象労働者に支給するという方法が一つ考えられます。毎月の手当ではなくても、支給の仕方は賞与でも一時金でも構いません。いずれにしても職員への説明と、その旨きちんと給与規程に定めることが必要です。
そして、この賃金改善の対象者は「介護従業者として勤務する者」となっており、人員基準を満たした上で他の職種(兼務可能なもの)の職員が介護職に従事する場合にも、交付対象とすることができます。どの職員を対象とできるか、よくわからない時は県の担当窓口に一度尋ねられてはいかがでしょうか。

介護サービスは成長が期待できる有望な産業であるにもかかわらず賃金水準が低く、離職率が高いことで人材不足が深刻化しています。きつい仕事の割に給料が少ない...と、なかなか定着しない介護職員と他の職種との賃金水準の格差を縮めようと始まったのが、この「介護職員処遇改善交付金」です。様々な不安要素や問題点があるのは確かですが、何もしないままでは「よその施設は出ているのに、うちは出ない」と不満の声が上がるのは必至でしょう。
せっかく国からいただく交付金ですから、現場で頑張っている職員の皆さんのために、ぜひ有効活用してください。

友永社会保険労務士事務所 木村 理砂


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